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『サバッシュ2』ってどんなゲーム?
その概要と魅力、そして今からプレイするための方法をご紹介します!

■ おしながき ■
1:『サバッシュ2』とは何ぞや?
2:『サバッシュ2』の魅力
3:『サバッシュ2』をプレイするには



■ #1 『サバッシュ2』とは何ぞや? ■
 『サバッシュU〜メヒテの大予言〜』とは、1993年に発売されたパソコン用の海洋冒険RPGです。
 (※機種依存文字対策のため、当サイトでは原則、『サバッシュ2』または『サバ2』と表記します。)
 原作・シナリオ・総監修は、ゲーム批評家としても知られていた落語家の三遊亭円丈師匠。開発は『エメラルドドラゴン』『ヴェインドリーム』を世に送り出し、RPGメーカーとして定評のあったグローディア。発売元はパソコンゲーム雑誌『ポプコム』を発行していた小学館グループのポプコムソフトでした。

 プレイヤーは神々に選ばれた勇者「マジョーン」となり、人間達の世界「パルチャップ(略称:パル)」に生まれ、世界の破滅を予言した「生神メヒテ」を倒すための旅に出ます。
 メヒテとは、東パルチャップに暮らすゴルド族出身の予言者。彼の予言は決して外れず、その最後の予言が、「1444年4月4日、全ての大陸と生物は海中に没し、メヒテを信じる者のみが復活して千年王国を築く」というもの。今やパルの陸地の大半が海に沈み、予言通りの結末が訪れようとしていました。
 さらにメヒテは、自らを王とする「ゴルド連邦帝国」を興し、パル各地の国家を次々に武力制圧。メヒテの支配から逃れているのは、もはや西パルチャップのごく一角のみでした。その地域にさえ、メヒテを神と崇める「レサ神団」の狂信者達が乗り込み、メヒテ教の布教と他宗教の弾圧を日々行っています。
 パルの民衆は相次ぐ戦争で疲れ果て、希望を失い、何の抵抗もできずに大破滅の日を待つばかり。

 神界の神々はこの事態を重く見て、かつて魔王の手から世界を救った勇者マーディ(前作『サバッシュ』の主人公)の魂を呼び寄せ、メヒテの予言阻止を命じます。マーディは「マジョーン(神に祝福されし者)」という新たな名を与えられ、人間として再びパルに生まれることになりましたが、マジョーンが成人してから大破滅の日までには、わずか数十日しか残されていません。

 パルチャップが大破滅を迎える前に、共に戦ってくれる仲間を探し出すこと。
 その仲間達と、たった5隻の艦隊で12の大海を駆け、ゴルド連邦に支配された国々を解放すること。
 そして、パルを絶望に陥れた予言の元凶、生神メヒテを倒すこと――それがこのゲームの目的です。


■ #2 『サバッシュ2』の魅力 ■
 『サバッシュ2』は水無月にとって、今でも最高のコンピュータゲームです。過去にプレイしたゲームの中で最もハマり、最もやり込み、最も感動したり泣いたりした一大傑作でした。

 敢えて最初に書きますが、このゲームは際立った個性を持っていて、ゆえに万人受けはしませんでした。評価が“世紀の名作”と“世紀のクソゲー”の両極に分かれているのも、この作品らしいところです。
 ただ、あらゆる意味で「それまでになかったゲーム」であり、発売からかなりの年数を経た今も「未だにないゲーム」であることは確かだと思います。惚れ込んだプレイヤーの中には、「自分にとって、サバッシュ2を超えるゲームはまだ現れない」と感じている方も多いようです。
 では、『サバッシュ2』の特長とは何か、と言えば。

【1.独創的なシステム】
 「フィールドでの戦闘がほとんど発生しない」
 「経験値を得る主な手段は、NPCとの会話やイベントクリアである」
 「一日あたりの行動限界量が決まっていて、“大破滅の日”との時間の戦いになる」
 「レベルアップや所持金の増加は、ゲーム内日数を進めた時、一日分まとめて処理される」
 ――等々、従来のRPGとは一線を画したシステムを持っています。
 また、主人公は3人から選べるようになっています。登場人物の人間関係や台詞、ビジュアルシーン、果ては結婚相手(!)までも主人公ごとに変わり、最低3回は飽きずに遊べます。

【2.高い自由度】
 12の大海からなる広い世界を駆け巡り、ほとんどの場所には自由に立ち寄れます。
 行く先々には数々のイベントが用意されていますが、ゲームをクリアするための必須イベントはごく一部。大半のイベントは「クリアしようがしまいがプレイヤーの勝手」という、何とも贅沢な作りなのです。
 必須イベントは難易度が低く、クリアする順序もわりと自由です。“大破滅の日”というタイムリミットはあるものの、エンディングに到達するだけなら手詰まりは起こりにくく、初心者でも安心です。
 
【3.手応えのある謎解き】
 ゲームクリアに直結しないサブイベントの中には、プレイヤーに謎解きを要求するものも多くあります。
 僅かなヒントを手がかりに、主人公が取れるいくつかの行動(アイテムを使う、交渉する、変装する等)を組み合わせると、イベントが進展していきます。解法がほぼノーヒントで、他のイベントの謎解きに使った手段をフルに応用してようやく解けるような代物もあり、アドベンチャーゲーム並みの凝りようです。開発者サイドからの挑戦状とも思えるような難しい謎を、自力で解き明かした時の充実感はもう最高!
 しかもエンディングでは、イベントクリアの達成度を示す成績表が表示されるようになっています。高得点を目指し、ついついやり込んでしまうこと請け合いです!

【4.主人公との一体感の強さ】
 シナリオライターが落語家さんということもあり、登場人物の台詞テキストは、現実の話し言葉にかなり近くなっています。仲間や町の人々は、「ジロッ!」「グスン!」といった擬態語・擬声語や、「エッ? 何? そうなの!」といった相槌を多用して、生身の人間のように生き生きと語りかけてきます。
 会話を交わすうちに、プレイヤーは自然と、自分がマジョーンになったような一体感を――ひいては自分自身が『サバッシュ2』の世界にいるような臨場感を覚え、ゲームの中に強く引き込まれていきます。

【5.重厚なストーリー】
 血で血を洗う宗教戦争の只中に置かれた、軍の指揮官や兵士、無力な民衆、宗教者や狂信者――。
 約250人もの登場人物、それぞれの立場や心情から多角的に描かれたシナリオは、戦争の空しさを訴えると同時に、「正義とは何か」「私達が失ってはいけない勇気とは何か」を問いかけてきます。
 主人公との一体感が強いゲームであるがゆえに、戦争に翻弄される人々の嘆きや悲しみは、主人公を介してプレイヤーの心にも迫ってきます。そんな状況下でも希望を捨てず、平和な世界の到来を願って奔走する主人公達の姿は、ゲーム内の人々だけでなく、プレイヤーにも勇気と感動を与えてくれます。
 ――いかがでしょう? 好みに合うかどうかはともかくとして、「一般的なRPGとはちょっと違うな」という印象は持たれたのではないでしょうか?
 相当昔の作品ではありますが、その斬新さは未だに輝いていると思います。今までにないゲームに出会いたい方は、ぜひ一度プレイしてみてください!!


■ #3 『サバッシュ2』をプレイするには ■
 「興味はあるけど、そんな古いゲーム、どうやって手に入れるの?」とお困りの方もご安心を!
 この作品、根強いファンが多いせいか、今でもプレイできる環境が整っているのです!!

 『サバッシュ2』は、Windowsの普及よりも遥か昔、NECのPC-9801シリーズ用に作られたゲームです。以前はPC-9801の本体がなければプレイできませんでしたが、Windows上で昔のPCソフトを動かせるプログラム(エミュレータ)の登場以降は、開発者やメーカー公認のエミュレータ版も発売されてきました。
 ソフトはこれまでに以下の5形態でリリースされています。【1】〜【2】はPC-9801の本体(VM/UV以降)、【3】〜【5】はWindowsPCがあればプレイできます。ゲーム内容はどのバージョンも全く同じです。
 (※イコール、グラフィックや操作性も1993年当時のまま、ということです。レトロゲームと割り切ってプレイしてくださいね。)

【1】PC-9801/パッケージ版(定価12,800円)
 1993年に発売された、サバッシュ2の原点です。5インチor3.5インチFD6枚、マニュアル『虎の巻』、ワールドマップポスター、ユーザーディスク用シールが入っていました。今では入手は難しいと思います。
 動作保証外ではありましたが、HDインストールも可能でした(しかもディスクレス起動)。

【2】PC-9801/TAKERU名作ソフト文庫版(定価3,500円)
 1994年、ソフトベンダーTAKERU(全国のPCショップに設置されていたソフト自動販売機)で購入できた、パッケージ版の簡略化バージョンです。
 A4の紙に印字された簡易マニュアルが付属し、別送でパッケージ版と同じワールドマップポスターが手に入りました。TAKERUなき今となっては、パッケージ版よりも入手困難だと思います。
(※ただし……マップポスターは《船上都市カラベル》《デニス廃墟》《ゴルド連邦ドンゴラ列島諸国》の記載が抜け落ちていて、パッケージ版には補足表が入っていたのですが、TAKERU版は補足がなく、プレイヤーが自力発見しなければなりませんでした・汗)

【3】Windows/『サバッシュ2復刻委員会』エミュレータ版(ダウンロード無料、レジスト料2,000円)
 2001年、サバッシュ2ファンの有志の集い『サバッシュ2復刻委員会』が発売したエミュレータ版です。
 復刻委員会のサイトやVectorで配布され、西パルチャップ部分は無料でプレイできたことから体験版としても優れていましたが、後述の『Project EGG』版の登場を受け、2007年末で配布終了となりました。
 PC98ゲームの復刻が一般的でなかった当時、サバッシュ2を復刻して注目を集めたという点において、このバージョンの功績は大きいと思います。

【4】Windows/『PC-9801ゲームリバイバルコレクション』収録版(定価2,800円)
 2004年に角川書店が発売した『PC-9801ゲームリバイバルコレクション』という書籍の中に入っているエミュレータ版です。HDインストール時のファイル構成のため、ディスクイメージを差し替える手間がありません。
 この本には、サバッシュ2をはじめとする往年のPC98ゲームが、合計15本も収録されています。既に絶版かも知れませんが、「他の98ゲームもやってみたい!」という方にはオススメです。

【5】Windows/『Project EGG』配信版(ダウンロード価格735円)
 2007年、レトロゲームの復刻配信サービス『Project EGG』で発表されたエミュレータ版です。
 購入時には会員登録(無料)&サービス利用登録(2009年8月現在、月額525円)が必要ですが、購入して一度起動させれば、あとは登録を解除しても遊べます。動作条件や購入方法の詳細は、『Project EGG』のサイトで必ずご確認ください。
 安価かつ簡単に入手できますので、これから始める方には最適かと思います。


『サバッシュ2』についてもっと知りたい方、またはソフトを手に入れた方は、
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